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星守る犬

著者: 村上 たかし


読み始めてすぐ、何とも言えない複雑な気持ちになりました。「おとうさん」が、自分の父にそっくりに思えてきて…。


ちょっとぶっきらぼうで、自分の感情を表に出すのが苦手。仕事に一生懸命で、子どもの教育には無頓着。飼い犬の散歩は欠かさず、犬の前ではちょっとだけ饒舌になる。

見た目も雰囲気も、父を見ているようで、それでいてどこにでも居そうな「おとうさん」と「犬」の、1ページ目に書かれた生の結末を、追いかける気持ちで、ちょっと重たい気分で読み進めました。


家族とのほんのちょっとの「ずれ」が、少しずつ大きくなっていき、やがて全てを失って、―南へ―、新たな旅を始めたおとうさんと犬。いろいろな偶然が重なり、最期の地を決めるまでの限られた時間を大切に過ごす彼らの姿が、胸に突き刺さってきました。


本の帯に書かれているような”せつなくて、うれしい涙”など一滴も出ません。ただじんわりと苦しくて、何かを突きつけられるような。

痛みをこらえながら、何かをごまかして生きている日々をふり返り、やっぱりやることがある、と思うことで少しだけ気持ちが楽になったような気がします。著者のあとがきにも、勇気をもらいました。

(著者あとがき抜粋 ここから)
...自分で書いてて何ですが、作中の「お父さん」はこんな結末を迎えなくちゃならないほど悪人じゃありません。...昔なら、いたって平均的ないいお父さんです。しかし、今ではそれが十分「普通の生活」を失う理由になり得るようで、本当につまらないことになってきたなあと思うのです。

ちやほやしろとは言いませんが、普通にまじめに生きている人が、理不尽に苦しい立場に追いやられていくような、そんな世の中だけは、勘弁してほしい。...
(著者あとがき抜粋 ここまで)


まずは自分の父に。まじめで不器用な父と、ゆっくりじっくり話し、関係をより良いものにしていきたいと、ふまじめで要領の良い自分は、切に思います。


そして世の中のおとうさん達に。ホームレス反貧困の現場で見て考える様々なことを、継続して発信していきたいと考えています。

星守る犬の1人として。

タグ: 反貧困

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